2001年2月〜2002年9月掲載
   

 

 






健康ジャーナル社編集部スタッフが、現在進行形の雑誌・単行本の編集こぼれ話、心に留めておきたいこと、怒り、愚痴(?)などを綴ったページです。どうぞごらんあそばせ。

 


安全と健康とピンクのイルカ

WTCに突っ込んだアメリカン航空機やら
ペンタゴンに墜ちたユナイテッド航空機やらに
すっかりショックを受けてしまった。
仕事に身が入りません。

睡眠時間を削って知らない邦人銀行員の安否を気遣ってしまう。
食事がおいしく感じられない。
失恋直後のように情緒不安定になって涙が止まらない。
不安で不安で
電車に乗って会社に行くのが恐くなってしまった。

睡眠欲よりも食欲よりも性欲よりも
今現在は安全欲のほうが勝っている状態。
すべての欲求の根底には「安全」に対する欲求があるということを
あらためて痛感させられる。

健康になりたいという欲求も「安全」に対する欲求の一種かもしれない。
けれどこんなに差し迫って秩序の危機が報道されているときに
「ビタミンを摂ろう」とか「体を鍛えよう」
なんてちょっと考える気になれない。

けれどこんなときにブッシュ大統領やアメリカ軍を批判したり
世界の動向を不安がって泣いていても
時間は過ぎていくだけだ。

テロがなくても電車は脱線するし、通り魔もいるし、財布も落とす。
突然ガンになっちゃうかもしれない。
生活していくということは元からリスクがあること。
結局今できることをやらなきゃいけないということにかわりはない。
たとえば足湯をしてリラックスするとか、ね。

元気にならなくちゃ。
こんなに一生懸命、心から自分で奮い立たせるようにして
無理矢理にでも元気でいなくっちゃと思うのは生まれて初めてかもしれない。
自分が知らないうちに巻き込まれてしまっている
危険な状況に負けたくないと思う。

とはいえ思いっきり負けてしまいそうな私は
ピンクのイルカのことを考える。

この夏休み、ユナイテッド航空機に乗って香港へ行ってきた。
一番の目的はピンクのイルカを見ることだった。
そのちょっと変わったイルカを単純に一目見てみたかった。

ピンクのイルカは
発電所の前に広がるあまりキレイではない海で遊んでいた。
イルカはキレイな海で悠々と泳いでいるものだと普通は想像するでしょう?
だけれど香港のピンクのイルカは
工業排水が垂れ流される汚れた海で
タンカーがガンガン行き交う中
遊んでいた。
灰色の世界にイルカの桃色が悲しくなるくらい栄えていた。

彼らを守りたい思うのと同時に
もっとキレイな場所に行けばいいのにと思った。
せっかくキレイなピンク色をしているのに
こんなに汚いところにいちゃダメだよって思った。

でもそんなにカンタンな問題ではないんだね。
キレイな場所なんて、なかなか見つからないもの。
人間より昔からその場所に住んでいる彼らは
リスクが高くてもそこに住み続けるより術がないのかもしれない。

汚れた海で危険な状況下に置かれても
自由に泳ぎ続けるピンクイルカを見てきてよかった。
見ていなかったら今日私はきっと会社を休んでいたよ。
布団を頭からかぶって寝こんでいたよ。
ほんとうに。

2001年9月12日
(F)

ピンクイルカのインフォメーション http://www.zianet.com/dolphins


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