2001年2月〜2002年9月掲載
 

 

 




監修:藤田紘一郎(医学博士・東京医科歯科大学教授)

前回は、昔の人がいかにお腹を大事にして健康を保っているのかお伝えしました。
その反面、現代に生きる私たちはお腹を大切にしない生活が多く、そのために健康を損なったり病気になったりしている場合が多いといわれています。ここで、現代人のお腹がどうなっているのか見てみましょう。

  なぜカイチュウに感染するかというと、生の野菜を食べるからなのですが、戦後、日本に来た進駐軍はみな生の野菜(サラダ)を食べ、大量のカイチュウに感染してしまいました(当時の日本人は、生の野菜ではなく、お漬物にしたりおひたしにして食べていたのでカイチュウ感染率がある程度のもので抑えられていたのです)。
アメリカではウンチは下水で流すだけですから、ウンチを有機肥料に使わず、したがってカイチュウには感染していませんでした。進駐軍は、日本に来て突然カイチュウに感染したので大変驚いたわけです。

 サラダを食べてカイチュウだらけになって驚いた進駐軍は、連合軍最高司令官マッカーサー元帥を通じて当時の日本の首相・吉田首相に、日本は野蛮な国だということで、早速カイチュウやその他もろもろの寄生虫の駆除を始めたのです。
それからというもの、日本のカイチュウ感染率は減少の一途をたどり、1945年当時のカイチュウ感染率約60%が60年には20%、70年には2%へと激減していったのです。時を同じくして、65年ごろから、アトピーや花粉症、ぜんそくなどの患者が出てきて、どんどん増えていったのです。

 日本人は極端に行きすぎる傾向があるらしく、カイチュウなどの寄生虫を減らしていった一方で、身の回りをどんどん清潔にしていきました。“行きすぎた清潔志向”の始まりです。外にあるものはみんな不潔といわんばかりに、家の中を無菌状態にするがごとく、家の中は抗菌グッズだらけ、トイレは「ウォシュレット」、もちろんウンチはキタナイものとして存在しないかのように扱われ、極端にバイキンや微生物と接する機会が減ってしまいました。
 キレイになって喜んだのもつかの間、これにより、免疫力や体の抵抗力が落ちて、病気になりやすくなってしまったのです。

 現代人は、昔の食生活のパターンとは大幅に変わり、体にいいとされる伝統的な「日本食」を食べる習慣がグッと減ってしまいました。
 自動販売機やコンビニには常に冷たい糖分たっぷりの清涼飲料水が売られており、いつでも買って飲むことができます。またほとんどの食品には農薬が大量にかかっていたり、長期間食べられるように保存料が入っていたり、香料・酸化防止剤などの添加物が大量に入っています。長い間の保存がきいて調理の手間のはぶける冷凍食品や加工食品がスーパーマーケットにはあふれ、いつでもすぐ食べられる「ファーストフード」の店が街にはたくさんあります。
 これらの食品は、残念ながらお腹にいい食品とはいえないのです。

 現代人はカッコ悪いからとほとんど腹巻もせず、お腹を大事にしない生活を送っています。
 夏はクーラー、冬は暖房のきいた部屋にいることが多く、汗もかかないので新陳代謝が悪く、体を動かさないので体力もなく、すぐ体調を崩しては抗生物質などの薬を飲みます。
 また、社会生活は複雑を極め、夜型の生活がパターン化されストレスだらけになっており、腹にとってよくありません。そんな生活を送っているので、お腹だけでなく心も全身も冷えきっています。現代人のお腹は、危機的な状況にあるのです。

 日本人のカイチュウ感染率は激減し、今ではほとんど0%です。アレルギーを抑えていたカイチュウがいなくなってしまったわけです。
 しかし、お腹の中の「腸内細菌」がカイチュウと同様に、アレルギーを抑えるなどさまざまな全身の健康に役立つ働きをしていたのです。
 お腹の中の腸内細菌を大事にしてどんどん増やせば、お腹のみならず全身が健康に保たれるのにもかかわらず、現代人のお腹の中は、頼みの「腸内細菌」さえどんどん減っているのです。
 そんなこともあり、現代ではアトピーや花粉症などにかかったり、病気になる人が増加してきてしまったのです。


腸内細菌までもが減っている現状を変えるにはどうしたらいいのでしょう?
昔の生活を見習いたいものですが、そのまま再現するわけにはいかないのが実状です。
そこで登場するのが、生きたまま腸まで届く有胞子乳酸菌です。


●有胞子乳酸菌とは
胃酸や胆汁などの酸に強い「芽胞」と呼ばれる殻を持ち、消化管内の過酷な環境にも耐えられるように進化した乳酸菌です。確実に腸まで到達し、腸内の善玉菌を活性化して急激に増やしてくれるので、腸内環境を改善するには有胞子乳酸菌がベストなのです。

●有胞子乳酸菌のここがすぐれもの!
ヨーグルトなどの乳酸菌食品に含まれているビフィズス菌は胃酸や胆汁に弱く、腸に到達するまでに大部分が死滅してしまいます。これでは、いくら食べても効果がありません。芽胞に守られた有胞子乳酸菌は、生きたまま腸まで確実に届くという点でほかの乳酸菌よりもたいへん優れているのです。

●有胞子乳酸菌の摂り方
有胞子乳酸菌は腸内環境を改善してくれますが、定住菌ではないので、ずっと腸内に留まっていることはできません。ですから一度摂ったからといって安心してはいられません。腸内環境を改善する役割を終えると2〜3日で便と一緒に排出されてしまうので、毎日摂り続けることが大切なのです。


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