世界デトックス紀行
デトックスブームが続いている今、単なる「デトックス=毒素を出す美容健康法」という流れがちょっと心配、という旅行ジャーナリストの木谷朋子さん。世界各地を旅してきた旅のプロならではの視点で、さまざまなデトックス体験、健康・美容体験を世界各国の健康事情とともにお届けします。世界的な有名スパから気軽に行ける癒しスポットまで、ヘルシー美容&料理情報なども交えてご紹介します。
 



   

第7回 韓国の薬食同源の世界〜PART-1 伝統茶

◆ 韓国の伝統茶は薬効に優れた健康茶

今回のテーマは「韓国の伝統茶」。韓国ではお茶といえば、この伝統茶が主流です。ナツメや柚子、カリン、ショウガなど、木の実の根や皮などの果実や、米などの穀類を蜂蜜などに漬け込み、そのエキスを薄めて飲んだり、草木を乾燥させてお湯を加えて飲んだりします。薬効にすぐれ、体によいお茶として韓国では日常的によく飲まれています。種類もバラエティに富み、梅実茶(メシルチャ)、柚子茶、ナツメ茶、雙和茶(ソウワチャ)、シッケ、水正果(スジョンガ)、梨茶、人参茶、霊芝茶など、一般に喫茶店で出されているお茶だけでも十数種類あります。

前回「韓方」のことを取り上げた際、「五味子茶(オミジャチャ)」のことを少しご紹介しましたが、この「五味子茶」もれっきとした伝統茶の一種です。私はこの「五味子茶」が何しろ大好き!初めて飲んだときからのお気に入りで、韓国のお茶屋さん(喫茶店)に行くと必ず「五味子茶」をリクエストします。夏になると、冷たくした五味子茶に花のカタチにカットしたスイカや梨を浮かべた「五味子花菜(オミジャファチェ)」がメニューに登場するのですが、これがまたキレイで美味なのです。

この「五味子茶」は朝鮮五味子という木の実から作られるお茶で、酸味、辛味、塩味、苦味、甘みの5つの味をもちます。ドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」でチャングム役を演じたイ・ヨンエが撮影中の疲れをとるために飲んだということで、日本でも急速に知名度がアップしましたが、体調によって酸味に反応する人、甘みに反応する人などがいるそうです。天然のビタミンCがたっぷり入っているため、美肌効果もバツグン。肺や腎臓、膀胱の活動を活発にする効果もあります。

◆ ソウルの骨董ストリート仁寺洞

ソウルでも最近明洞(ミョンドン)あたりに、だいぶ伝統茶を出す喫茶店が増えています。とはいえ、伝統茶といえば「仁寺洞(インサドン)」。ソウルの中で最もレトロな雰囲気が感じられるエリアです。朝鮮王朝時代の雰囲気を残す骨董街としても知られ、今でも骨董品、韓紙、陶磁器、ポシャギ※、刺繍などの伝統工芸品を扱う店やアートギャラリーがズラリと並びます。伝統茶の店も普通の喫茶店と変わらないモダン系、韓国の伝統家屋を改装した伝統系に分かれ、玉石混合状態。たくさんの店があるので、どこの店にするかでいつも悩みます。

私も何軒か行きつけの店があるのですが、初ソウルの友達を連れて行くときには、耕仁美術館の中にある「伝統茶院」へ出かけます。何しろ500坪以上の敷地に広々とした庭と3つのアートギャラリー&アートショップがある美術館。なんとなくホッとできる空間なので、観光客が多いとわかっていても足が向いてしまいます。内部のインテリアも伝統的な韓屋ですし、お茶も美味しいですから、韓国らしさを感じたい人にオススメです。

◆ 朝鮮時代末期の貴族屋敷を改装したレストラン

もう一つのオススメは「閔家茶軒(ミンガダホン)」というレストランです。仁寺洞でひときわ優雅な伝統家屋があるな〜と思っていつも気になっていたのですが、お茶もできる場所と知り、出かけてみることにしました。

中に入ってみると、外から見ていた以上に素晴らしいお屋敷でした。店内はヴィクトリア時代風の英国家具と韓国伝統の家具が融合したおしゃれでエレガントな雰囲気。韓国最後の王妃、閔妃の一族が代々住んでいたお屋敷で、現在は、ソウル市から歴史遺産に認定されている伝統的な韓屋です。1936年に建築されたということですので、西洋文化の影響を受け始めた朝鮮時代末期独特の雰囲気がそのまま残っているといってよいと思います。2001年にレストランに改装されたそうです。

和洋折衷という言葉がありますが、ここはまさに韓洋折衷。スタッフもウエイターは蝶ネクタイ、ウエイトレスはロングスカートというイデタチで、物腰柔らかく丁寧な応対をしてくれます。食堂の庶民的な雰囲気とは一線を画しますが、堅苦しい雰囲気ではなく、居心地はとてもよかったです。今度はお茶だけじゃなく、フュージョン料理がサーブされるランチかディナーに行ってみたくなりました。

韓国では儒教の影響で一時期、緑茶文化が廃れてしまったのですが、近年緑茶文化が見直され、伝統茶のほか緑茶を出す店も増えています。「閔家茶軒」には、緑茶もいくつか揃っていますので、ぜひ飲んでみてください。私が好きなのは、ドラマ『夏の香り』のロケ地にもなった韓国南部のお茶畑「宝城(ポソン)」で採れる「雨前(ウゼン)」というお茶。最高級の新茶ですが、喫茶店のほか、ソウルではロッテ百貨店などでも購入できます。

※ポシャギ・・・・品物を包んだりまとめたりするために四角に作った布のこと。朝鮮時代から続く韓国の伝統工芸品の1つで、現在は実用品としてよりも、視覚的に楽しい作品性の高いものが増えている。「韓国伝統のパッチワーク」と言われ、観光客にも人気が高い。

伝統茶の種類と効能については以下を参考にしてみてください。
柚子茶・・・・・蜂蜜や砂糖に漬けこんだ柚子をお湯で割って飲む。胃腸保護や消化促進に効果あり。初伝統茶という人でも飲みやすくオススメ。
梅実茶・・・・・完熟梅を蜂蜜にじっくり漬け込みエキスをお湯で割って飲む。甘みと酸味のバランスが絶妙。ビタミンCが豊富。梅は消化促進に効果あり。
ナツメ茶・・・・・ナツメの実を煮出したお茶。ビタミンが豊富で疲労回復や胃腸を保護する効果あり。飲みにくい人は黒砂糖を入れると飲みやすくなる。
雙和茶・・・・・韓方薬剤(桂皮、甘草、熟地黄、勺薬などの9種類)をじっくり煮出し、松の実やくるみを浮かべたお茶。伝統茶の中では一番苦いが一番薬効も高い。ストレスがあるときや疲労回復に効果あり。
花梨茶・・・・・・カリンを蜂蜜に漬け込みエキスをお湯で割って飲む。甘いお茶で香りもよく飲みやすい。呼吸器系や喉の痛みに効果あり。
トングレ茶・・・・・トングレ(日本名アマドコロ)と呼ばれる植物の根を煮出したお茶。胃腸や呼吸系の鎮静や鎮痛、老化予防に効果あり。
センガンチャ・・・・・生姜とナツメを煮出して蜂蜜を加えて飲む。甘くて飲みやすい。解熱や風邪予防の効果あり。
人参茶・・・・高麗人参を蜂蜜に漬け込んでそのエキスをお湯で割って飲む。独特の苦味と香りがあるが、薬効効果の高いお茶。疲労回復やストレス防止に効果あり。

 

伝統茶院
最寄り駅 地下鉄3号線安国駅
住所 ソウル市鐘路区寛勲洞30-1
TEL 02-730-6305
営業時間 10:00〜23:00 休 旧正月、秋夕

閔家茶軒
最寄り駅 地下鉄3号線安国駅
住所 ソウル市鐘路区慶雲洞66-7
TEL 02-733-2966
営業時間 12:00〜23:00 休 元旦、旧正月、秋夕

 



耕仁美術館の中にある伝統茶院



建物は朝鮮時代の伝統的な韓屋(伝統茶院)



五味子花菜、なつめ茶、柚子茶、もち米や米粉を使って作られた伝統菓子「韓菓」(伝統茶院)



ソウル市の歴史建造物に指定されている閔家茶軒



ティータイム以外はレストランとして営業(閔家茶軒)



英国風のソファーに韓国の家具を配した韓洋折衷のインテリア(閔家茶軒)

第1回 カラダを内側からキレイにするのがデトックス
第2回 スパ・リゾートで知ったデトックスの実態
第3回 1泊2日で行けるタラソテラピーセンター(PART 1)
第4回 1泊2日で行けるタラソテラピーセンター(PART 2)
第5回 韓国で見た『韓方』の世界(Part 1)
第6回 韓国で見た『韓方』の世界(Part 2)
第7回 韓国の薬食同源の世界〜PART-1 伝統茶
第8回 韓国の薬食同源の世界〜PART-2 ウエルビンブームと綺麗になれる伝統料理
第9回 ワイキキで見た海洋深層水のショールーム
第10回 海外では男性のスパ利用は常識
第11回 ホノルルでは大好きなマンダラ・スパへ
≫最新号

 

  ≫HOME

Copyright (C) KENKO JOURNAL , Inc & KITANI TOMOKO All RightReserved