世界デトックス紀行
デトックスブームが続いている今、単なる「デトックス=毒素を出す美容健康法」という流れがちょっと心配、という旅行ジャーナリストの木谷朋子さん。世界各地を旅してきた旅のプロならではの視点で、さまざまなデトックス体験、健康・美容体験を世界各国の健康事情とともにお届けします。世界的な有名スパから気軽に行ける癒しスポットまで、ヘルシー美容&料理情報なども交えてご紹介します。
 


第32回 スリランカ・アーユルヴェーダ紀行 PART-5
アーユルヴェーダのハーブ薬

◆ アーユルヴェーダの治療にはハーブ薬は必須!

バーベリン・リゾートに来る前は、アーユルヴェーダの治療にハーブが使われることをまったく知らなかった私ですが、バーベリンに来て、初めてハーブ薬がアーユルヴェーダの治療に必要不可欠なものと知りました。

日本だと、ハーブはイギリス、フランス、ドイツなど、ヨーロッパやアメリカのものと思っている人が多いかもしれません。ハーブと言ってしまうと、薬というよりハーブティーを連想してしまうのは、日本にハーブが入ってきたとき、薬事法などの関係で薬として入ってこなかったからでしょう。

しかし、中国や韓国、そしてわが国日本でも古くから「薬草」という言い方で、ハーブを治療薬として使ってきています。私がみたところ、スリランカのハーブはその流れと同じ。中国の漢方薬や韓国の韓方薬と同様、自生するハーブ(自家製ハーブ)から作られ、薬として処方されており、スリランカの伝統療法の一つとして確立しています。

◆ ヘルスセンターのキッチンで作られる自家製ハーブ薬

バーベリンでの薬の時間は毎日計5〜6回、計6〜7種類。午後3時にはヘルスセンターの薬箱にそれぞれの患者のハーブ薬が並びます。ハーブ薬の処方は宿泊者(患者)によって異なりますが、基本はガラス瓶に入った液体ハーブ薬と粉薬、丸薬の3種類です。薬箱はドクターのコンサルテーション・ルーム(診察室)の外にあり、まるで下駄箱のようでした。一つ一つのマス目に部屋番号が書かれ、それぞれの薬には自分の患者番号がふってあります。患者たちは毎日この薬箱から薬をとってきて決められた時間に薬を飲むことになっています。

ヘルスセンターの奥には、キッチンと呼ばれるハーブ薬を作る部屋があり、たくさんのハーブ薬がここで作られ、管理されています。デイビッドさんに「キッチン見学をしたい」とお願いすると、帰国2日ほど前にキッチン見学を許可されました。

キッチンに入ると、20台ほどのガス台の上に素焼きの真っ黒な鍋がズラリと並び、ハーブ薬が煮出されていました。鍋の中には木や草の皮、枝、葉、中にはニンニクがどっさり入った鍋もありました。部屋にはハーブ独特の香りが充満。韓国のソウルにあった韓方市場(京東市場)でも韓方薬を煮出す薬臭い香りが街全体に充満していましたが、その香りにとても似ていたのが印象的です。

キッチンには、ハーブ薬を作る責任者のドクター・フェレーラさんがおられ、薬作りと薬をチェック中のスタッフたちがいました。ここで薬を作り、それぞれの患者の薬を詰めていくのだと説明され、ドクターの案内で、キッチンの外にあるハーブ園や、毎日マッサージで使われているハーブ・オイルを煮出す窯なども見学。自分の毎日飲む薬がここで実際に作られたものだと確認でき、なんとなく安心感を覚えてしまいました。

◆ 毒素をためないことが病気にならないための最善の方法

アーユルヴェーダでは、病気を治すということ以前に「病気にならないようなカラダを作ることが大切」という予防医学に重きが置かれています。そして、「病気にならないためには毒素を貯めないことが大切」とされ、アーユルヴェーダ治療においては、毒素を出すことが大前提になっています。オイル・マッサージの目的も凝りをほぐすためではなく、オイルをカラダに浸透させることで毒素を排出させるのが目的。毒素排出(デトックス)こそ、アーユルヴェーダの基本理念なのです。

最初のドクター・コンサルテーション(ドクター・ワサナのカウンセリング)でも、便通や排尿の回数などを聞かれましたが、便通は毒素を貯めないための基本。最近日本では、「デトックス=汗をかくこと」と勘違いしている人が多いようですが、体内の毒素排出のうち約75%は便、約20%は尿、汗は約3%ということなので、便でのデトックスがいかに大切かがわかると思います。

私が処方されたハーブ薬は、連れの貴子ちゃんとは微妙に違うものでした。薬ですから1人1人違う処方がされているのは当然ですが、デトックス効果の高い下剤らしき液体ハーブ薬は、ほぼ全員に処方されているらしく、このハーブ薬で徐々にカラダの中から毒素と老廃物を取り除き、体全体をデトックスしていくようです。

薬を飲む時間が微妙に違うせいか、思っていた以上に、薬を飲むことで行動を制限されるな〜と感じました。

【私が処方されたハーブ薬】

(1) ランチとディナーの食後に飲む液体の薬(毎回2テーブルスプーン)。
血と尿をきれいにする薬と説明された。
(2) 4:00PM 丸薬
(3) 6:00PM&6:00AM  草っぽい味。ハーバル・ティーと同じような味だがそれよりも少し飲みやすい液体薬。
(4) 9:00PM ハーバル・ティーと呼ばれるハーブの液体薬。たぶん下剤だと思われる。この薬を飲むと、ちょうど朝の6:00頃、お腹が痛くなり、便通をもよおす。
(5) 9:00PM 丸薬
(6) 10:00AM 丸薬
(7) 2:00 PM 丸薬

【薬の効果について】

初日に下剤と思われるハーブの液体薬を飲んだ私たちですが、貴子ちゃんは夜中にお腹が痛くなり、何度もトイレに行く状態。朝6時半からのヨガ・レッスン中にお腹の調子が悪くなり退出してしまうほど。午前中にドクターに相談し、このハーブ薬を飲むのを一時中断しました。私の方は、午前4時半に目がさめ、トイレに1度行ったきり。朝食後快調に大便が出て特に問題なし。
しかし、翌日から朝6時前にお腹が痛くなり、ゆるい便が出始め、朝食後ゆるい便が再び出る状態に変化していきました。その後も毎朝お腹が痛くなり便が出る日が続き、帰国3日前あたりから、便が黒くなってきました。宿便が徐々に取れている状態となっていることを確認でき、ハーブ薬で体がデトックスされてきたことを実感。
他の丸薬や液体薬がどの程度効いているかはわかりませんでしたが、ハーバル・ティーと呼ばれる液体ハーブ薬に関しては、下剤効果はてきめんだったようです。貴子ちゃんはこのハーブ薬を途中からリタイアしてしまいましたが、体質によって合わない人もいるのかもしれません。私はこのハーブ薬が徐々にデトックスするためには効果的だと思いました。
丸薬や液体薬は、最初に処方されたものと最後の方では種類が違っていたので、たぶんドクターの方で微妙に変えているのだと思います。

次回は、アーウルヴェーダの治療として有名な「シロダーラ」と「アイ・トリートメント」のことをご紹介したいと思います。

バーベリン・リーフ・アーユルヴェーダ・リゾート
Barberyn Reef Ayurveda Resort

住所 : Beruwara , SriLanka
TEL : +94-34-76036、76134、76173
FAX : +94-34-7603
URL : http://www.barberyn.com (英語)
URL : http://www.barberynresorts.com/japan/index.htm (日本語)

 

 



毎日午後3時にはこの薬棚に宿泊者に渡される薬がいっせいに並ぶ



自分の部屋番号の棚から自分のペイシェント・ナンバー(患者番号)の薬を持っていくシステム



毎日渡される薬のリスト。これは丸薬(錠剤)



丸薬に粉がついたタイプのハーブ薬



私が毎日飲んでいた液体ハーブ薬3種



薬を作るキッチンの責任者ドクター・フェレーラさん



薬を煮出す素焼きの鍋



鍋の中を覗くと木の枝や葉が煮出されていた



マッサージで使うオイルを保存する樽。大きな鍋で煮出した後、数週間保存してから使用する



栄養士の先生ラクマーリさんとキッチンで働くディルミさん



庭で自生するハーブ。このハーブ園のハーブをとって薬を作る

第30回以前のコラムはこちら
第31回 スリランカ・アーユルヴェーダ紀行 PART-4 全身オイルまみれの後は、ハーブ・パックとハーブ・バスで終了!
第32回 スリランカ・アーユルヴェーダ紀行 PART-5 アーユルヴェーダのハーブ薬
第33回 スリランカ・アーユルヴェーダ紀行 PART-6 シロダーラとアイ・トリートメント
第34回 スリランカ・アーユルヴェーダ紀行 PART-7 アーユルヴェーダのドーシャ・チェック
第35回 スリランカ・アーユルヴェーダ紀行 PART-8 バーベリン・リゾートでの充実した8日間
第36回 イギリスの温泉町 PART-1 上流社会の社交場として栄えた高級温泉保養地バース
第37回 イギリスの温泉町 PART-2 21世紀のバースに蘇ったスパ・コンプレックス「サーメ・バース・スパ」その1
第38回 イギリスの温泉町 PART-3 21世紀のバースに蘇ったスパ・コンプレックス「サーメ・バース・スパ」その2
第39回 イギリスの温泉町 PART-4 21世紀のバースに蘇ったスパ・コンプレックス「サーメ・バース・スパ」その3
第40回 イギリスの温泉町 PART-5 北イングランドの高級保養地 ハロゲイト その1
第41回 イギリスの温泉町 PART-6 ハロゲイトのターキッシュ・バス その2
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