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![]() デトックスブームが続いている今、単なる「デトックス=毒素を出す美容健康法」という流れがちょっと心配、という旅行ジャーナリストの木谷朋子さん。世界各地を旅してきた旅のプロならではの視点で、さまざまなデトックス体験、健康・美容体験を世界各国の健康事情とともにお届けします。世界的な有名スパから気軽に行ける癒しスポットまで、ヘルシー美容&料理情報なども交えてご紹介します。 |
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◆ 映画『ミス・ポター』のロケ地 5月に久しぶりにイギリスへ取材に行ってきました! 取材のメインは、この秋(9月)公開される映画『ミス・ポター』のロケ地となった「湖水地方」です。主人公ビアトリクス・ポター(映画ではレニー・ゼルウィガーが演じています)ゆかりの場所や映画のロケ地となった場所、そのほか、ポターとは関係ないのですけど、花や庭の美しい貴族屋敷とホテルを取材してきました。 みなさんは、ビアトリクス・ポターの名前をご存知でしょうか?知らない方でも『ピー ター・ラビットのおはなし』はご存知ですよね。彼女はその作者です。 湖水地方の話はまた改めてするとして、今回はイギリスが誇る歴史的世界遺産であり、 ユネスコの世界遺産にも指定されている(1987年)「バース」の町の温泉町としての 歴史についてご紹介したいと思います。 ◆ 2000年の歴史を誇る温泉町バース バースに私が興味をもったのは約20年前のことです。 英語のBATH(お風呂)はこの町の名前BATH(町の名前として発音する場合はバースです)が実は起源となっています。ドイツにバーデン・バーデンという温泉町があるのですが、この地名の意味もズバリ「温泉温泉」。バースに対しても、バス(お風呂)を意味する地名から温泉町であることはすぐにわかったのですが、街中どこを探してもどこにも温泉がなく、あるのはローマン・バスと呼ばれる古代ローマ時代の浴場遺跡のみ。 18〜19世紀に上流階級の温泉保養地として栄えたドイツのバーデン・バーデンと、同じく18〜19世紀に上流階級の温泉保養地として栄えたバースにはかなりの共通点があるだけに、「バーデン・バーデンには、現在も公衆浴場が2つあり、ホテルの中にも温泉があるところがあるのに、バースにはなぜないの?」というのが長年の私の疑問でした。 とはいえ、温泉町でなくても、今日のバースにはさまざまな歴史遺産があり、それだけでも行く価値があります。特にジョージ王朝時代(19世紀初頭)のエレガントな建物がそのまま残る街並みは格別に美しく、イギリスにこんな街があるの?と驚かれると思います。 これらの素晴らしい見事な建築物は、当代きっての天才建築家と讃えられていたジョン・ウッド親子による設計のものが多く、18〜19世紀に建てられたもの。バース・ストーンと呼ばれるハチミツ色の石をふんだんに使ったパラディオ様式の壮麗な建築物の中でも、「サーカス」と呼ばれる三層列柱のレリーフはローマ建築にインスピレーションを得て建てられた傑作です。 また、息子の方のジョン・ウッドの設計による三日月形の30軒の大邸宅「ロイヤル・クレセント」は、保養に訪れる上流階級の人々の中でも名士といわれる人たちが住んだエリア。114本のイオニア式の柱で飾られた半楕円形のテラスと、クレセントの下に広がる青々とした緑の芝生は当時の上流階級の人々のお散歩コースだったそうです。今では上流も中流も下流も?関係なく、バースの人々や観光客の憩いの公園となっていて、私もお天気の良い日は必ず行きます。 ◆ 古代ローマ人が造ったローマン・バス 今のバースの街並みは、18〜19世紀の栄華を現在に留める貴重な世界遺産としてユネスコに登録されていますが、この町が栄えるきっかけを作ったのは「温泉」です。 バースの温泉としての歴史は約2000年前に遡りますが、実は温泉が存在していたのは すでに紀元前5千年。中には紀元前8千年という説があります。また、歴史書に、ケル トのブラドゥード王子が紀元前863年に湧き出る温泉から薬効があることを発見した という記述が残っていますので、どうやら紀元前の時代からお湯が沸いていたことは 間違いなさそう。当時この地に住んでいたケルト人は、地表から噴き出す高温のお湯 を見て、この地を女神スリスの棲み家とし、これが温泉=神殿を建立するきっかけと なっています。 この温泉を娯楽施設に変えたのが、温泉好きの古代ローマ人でした。西暦65年にケルト人とローマ人がやっと和解すると、ローマ人は早速浴場建設に取りかかります。ただの温泉施設でなく、温泉と娯楽施設を兼ね備えた今でいう健康ランドのような「スパ・コンプレックス」ともいうべき巨大な施設でした。ローマ人はここに温泉と神殿を建てて、ローマの女神ミネルヴァとケルトの神スリスを祭ります。 今博物館として公開されている『ローマン・バス博物館』は、その浴場遺跡で、見学してみると、当時の温泉浴場がいかに清潔でシステマティックだったがわかります。すでに1〜4世紀に、湧き出ている天然温泉の高熱を3つのプールに流すことで冷まし、マッサージルーム、床下暖房やスチームバスの部屋を設置。別室にはゲーム室や賭博場、商談用のミーティングルームなども設けられていたといいますから、当時のローマ人の並々ならぬ温泉への執着と文化度がいかに高かったが垣間見える遺跡です。 残念なことに、この温泉好きで社交好きなローマ人がいなくなると、この浴場は一気に荒れ果ててしまい、かなり不衛生な状況になってしまうのですが、1090年にヴィルーラ司教が病人の治療を目的にキングス・バスを建設。しかしこのキングス・バスは、1000年前にローマ人が建設した土台の石を利用して造られたものの、あまり衛生面ではおススメとはいえない状況でした。当時のイギリス人(ブリテン人)は温泉がカラダに良いことを知ってはいても、まだこの時代には複合施設を含めた温泉施設を作ろうという 知識も、金銭的な余裕もなかったのだろうと推察しますが、根 本的に温泉好きじゃなかったのだと思えます。温泉保養地としてジョージ王朝時代に華麗に復活するまでは、バースの温泉は廃れた状況だったと考えてよいと思います。今でもキングス・バスからは46度のお湯が1日110万6400リットル湧き出ており、これを長年使わなかったイギリス人は、本当にもったいない!と日本人の私は思うのです。 ◆ 18〜19世紀に温泉が復活! 『ローマン・バス博物館』に隣接するパンプ・ルームは、1706年にバースの上流階級の人々が集まる社交場として建設された場所です。今の建物は1791年〜1795年に建て替えられたものですが、現在もランチやアフタヌーンティー、ディナーが楽しめ、音楽の演奏会なども行っています。パンプ・ルームに残るキングス・スプリングでは、鉱泉水を飲むのが流行した時代の名残で今でも温泉水を飲むことができます。おすすめはやはりアフタヌーンティーですが、のんびり過ごして欲しい場所のひとつです。 ローマン・バスの浴場跡が発見されたのは実は1880年のことでした。現在『ローマン・バス博物館』となっていますが、デコーダーによる日本語解説がありますので、ガイドさんがいなくても安心です。ただ、難点はとにかくいつも観光客でいっぱいなこと!特に世界遺産にバースが登録されてから観光客が増大したような気がします。人気の観光スポットなので、訪れるなら朝早くがベスト。古代のお風呂がいかに近代的に今とほぼ変わらぬ発想で造られていたかがわかる貴重な遺跡です。ぜひバースの街並みとともに必ず訪れてみてください。 次回は、この『ローマン・バス博物館』の近くに昨年(2006年8月)オープンした現代のスパ・コンプレックス「サーメ・バース・スパ」についてご紹介します。
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