96歳 はいからさんのキッチンライフ


第2回 なにかが違う1年のはじまりです


96歳の料理研究家、藤木菊枝さん
96歳の料理研究家、藤木菊枝さん

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 新しい年が明けました。
 今年でわたしは97歳になるのですね。静かに新しい年を祝いましたが、相変わらず食欲旺盛、年末年始のテレビを楽しみと、いつも通りのお正月を過ごしました。

 もうこの歳になると、「ああ、今年1年無事でいられるかしら」なんて思うのが常ですが、今年はちょっと違うようです。昨年暮れに、わたしにとってはじめての本を出版させていただき、わたし自身はいつも通りぼんやりとしているものの、周りの様子が少々違ってきたようです。

 おかげさまで本を読んでいただいた方から、「とてもよかったですよ」なんて声をかけていただくと、照れくさいながらもうれしいものです。それほど波乱万丈の生き方をしてきたわけではないので、わたしのことが本になっても、つまらないと言われるのがオチだと内心思っていましたからね、お世辞でも誉めていただくのはうれしいものです。

 先日はある新聞社の方が取材に見えまして、わたしはただ言われるままに、いつもの通りしていただけなのですが、周りの人があわてたり、そわそわしたりと、それを見ているのが面白くて、まあ楽しい1日でした。と言いながらも、もちろん、いつもよりちょっと念入りなお化粧はさせていただきましたよ。

 おだてられたついでに言うのもなんですが、この本は、わたしの歩いてきた道なんかよりも、昭和を代表する料理人、辻徳光先生、井上幸作先生、中谷文雄先生から教えていただいたレシピ、料理教室の講師時代に覚えた自慢料理レシピのほうがおすすめです。まだ日本が貧しい国だった当時、食べたくても食べられなかったごちそうがたくさんありましたが、その味が再現できるはず。ぜひ試してくださいね。

 まあ、本を出したことで新聞社の方が見えたりして、まだまだボケるわけにはいかなくなってきてしまいました。まあ、口ばかりは達者なわたしですから、そう簡単にボケるとも思っていませんが、ますます元気でいなくてはいけませんね。無理しない程度に、健康に気を使っていきたいと思っています。

菊枝レシピ その2 牛スネ肉カレーライス
牛スネ肉カレーライス

欧風の牛肉がゴロゴロ入った、デパートで食べた懐かしいカレーライスです。

【材料】 6人分

大きめの玉ねぎ : 2個
にんにく : 3片
しょうが : にんにくの倍量
バター : 150g
牛スネ肉の塊 : 700g
カレー粉 : 大さじ3杯
小麦粉 : 大さじ6杯
ビーフブイヨン : 4個
トマトケチャップ : 大さじ5杯強
好みでホワイトペッパー適宜


◆ 作り方 ◆

  1. 玉ねぎは皮と芽を取り、半分に切り縦1cm幅にスライスする。にんにくは皮と芽を取り、しょうがは皮をむきみじん切りにする。バターは2cm角に切る。ほかの材料はあらかじめ用意しておく。
  2. 牛スネ肉を煮る。深鍋に牛スネ肉を入れ、かぶるぐらいまで水を注ぐ。強火にかけ沸騰寸前に弱火にする。途中水が足りなくなったら水を差し、灰汁を丁寧に取りながら30〜40分煮る。
    ※中まで火が通っていなくても後で煮るので大丈夫。肉を取り出し、1.5cm角に切る。煮汁は漉してとっておく。
  3. 別の深鍋にバターを2個入れ弱火にし、にんにくとしょうがを炒める。にんにくとしょうがの香りが出てきたら中火にしてカレー粉を加える。木べらでなじませるように炒め、バターを2個加える。バターの固まりが消えないうちに、玉ねぎを加えてからめるように炒め、バターをさらに2個加える。
  4. 3の玉ねぎが半透明になったら小麦粉を一気に加え、すぐにバターを2個加えて焦げないように鍋底を木べらでこすりながら炒める。小麦粉がバターになじんでしっとりしてきたら牛スネ肉のスープを注ぐ。強火にして沸騰してきたら中火にする。
  5. 4にケチャップと湯2カップで溶いたブイヨンを加える。甘味が好きな人は、トマトケチャップ大さじ山盛り3杯を加える。スープがしゃばしゃばのうちに、牛すじ肉を加える。
  6. なべ底が焦げやすいので、木べらでときどきなべ底をかきまぜながら玉ねぎが溶けるまで煮る。

    ※後は、ご自分の味のお好みでホワイトペッパー、しょうゆ、トマトペーストなどを加えて。塩は苦味が出るので加えない。


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