96歳 はいからさんのキッチンライフ


和菓子こそ料理の王様


96歳の料理研究家、藤木菊枝さん
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 春一番が吹き荒れまして、いよいよ春がやってくるのですね。梅の花がきれいな時期ですが、わたしにとっては梅の花よりも、「実」のほうが大切な問題。以前は青梅が八百屋さんに出回るとどっさり買い込んで、梅干しを作ったり梅酒にしたり、なかなかの大騒ぎぶりでした。

 まったく「花より団子」で情緒もなにもございませんが、最近はちょっと「大人」になって、自分で漬けるよりもずっとおいしい紀州の梅干しを見つけまして、その味を楽しんだり、甘く煮た青梅の和菓子をちょっぴりいただいて、お上品にこの季節を迎えようと思っております。まあ、これは初夏までのお楽しみですね。

 青梅のお菓子もそうですが、日本は「お菓子」も季節季節のものがあって素晴らしいですね。わたしはとくに水羊羹の、薄墨のような上品な色合いと、冷やして食べたときのすっきりとした甘さが大好きです。しかし、夏にしか食べられない、季節の食べ物だったはずの水羊羹が、最近ではいつでも食べられるようになって、どうしてでしょう、以前ほどは水羊羹を食べなくなってしまいました。

 食べることは口だけの作業ではありません。目で、耳で、肌で、鼻でその食べ物を感じ、味を楽しむものです。やはり水羊羹は夏、風鈴の音と蝉の鳴き声とともに、陽の光を簾でよけながらいただくのが一番ですよね。マンションの一室で、エアコンの効いたところで食べても、おいしくないですよね。

 それはそうと、何度も申し上げましたが自分の食事は自分で作る、というのがわたしのモットーですが、和菓子に関しては、和菓子職人の方に一歩も二歩も譲ります。それほど、微妙な甘味、色合い、小豆の茹で具合、飾り付けなど、本当においしい和菓子を作るのには、熟練した腕が必要です。いままでわたしも何度か和菓子に挑戦しましたが、作るたびに味が変わってしまったりして、思い通りにできたという記憶は残念ながらありません。負けず嫌いなわたしですが、和菓子職人の方の前では、兜を脱ぐしかなさそうなのです

菊枝レシピ その4 水泉
水泉

和菓子は難しい……などと書きましたが、これは簡単でおいしい、春のお菓子です。せっかくだから、器やいただく場所も考えて、日本に生まれた喜びを満喫しながら食べたいものです。

【材料】

〔卵豆腐器(15×13.5×4.7cm)1台分〕
くず粉 : 70g
わらび粉 : 7g
水 : 2カップ
上白糖 : 210g
抹茶 : 小さじ1

    


◆ 作り方 ◆

  1. ボウルに水以外の材料を混ぜ合わせて漉す。
  2. 1の2/3量と水を厚手の鍋に入れ弱火にかけふつふつしてきたら火を止める。
  3. 2の2/3量にトロミがついたら残りの1/3量を加えて混ぜ合わせ火からおろす。
  4. 抹茶をふるって3と混ぜ合わせ、型に注ぎ平らにならす。
  5. 蒸し器に入れて20分蒸す。


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