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ムカつく、キレる、落ち着きがない……。現代の若者の「専売特許」ともなったいろいろな状況の原因は、もちろんしつけの問題、栄養の問題などいろいろありますが、「脳の成長の遅れ」にも大きな要因があるといいます。そしてそれは、大人になってから取り戻せるものではなく、9歳という年齢で決まってしまうともいうのです。これはいったいどういうことなのでしょう。
人間の脳は、生まれたときはわずか400グラムしかありません。その小さい脳が3歳では1000グラム、そして9歳には大人と同じ、1400グラムの脳が出来上がってしまうといわれています。
脳の重さは、単に体の成長に応じて大きくなっていくものではありません。目や耳など、あらゆる手段を使って情報をインプットし、そのときに脳の神経細胞が「シナプス」という芽を出し、シナプス同士をくっつけ合い、ネットワークを作って、大きくなっているのです。
食欲や性欲などの、動物として全うすべき本能を満たすために必要な脳、いわゆる脳のハードウエアは、すでに3歳で作り上げられてしまうといいます。
そして、人間が人間である最も大きな特長、「言葉を発する」ための脳、脳のソフトウエアは、9歳くらいで完成されます。
脳のソフトウェアとは、前頭葉などの、いわゆる「大脳新皮質」のことをいいます。大脳新皮質は言葉を発するほかに、情緒や感情などを司る部分です。3歳までに見たり経験したことは「原風景」として残り、その後は先ほども述べたように、9歳までの体験で完成されてしまいます。
ですから、その頃に体験したり、見たり聞いたりしたことが、より豊富な人ほど、その後の人生に大きく役立ってくるものなのです。
しかし、最近の一部の若者に見られる情緒不安定、ムカつく、キレるなどの行動は、その9歳までの体験が不足、あるいは偏っているからといわれています。具体的には、なんといっても幼児期の「言葉がけ」の不足があげられます。
私たちは日本語を話し、日本語でものを考えます。ですから、自分の細かな感情を表現できるのは、その人の日本語のボキャブラリーにかかっているといえます。
しかし、最近の親たちは、テレビゲームやビデオに子守りをさせて、子どもに話しかけるということをしません。また、日本語もろくに話せないうちから英語などを習わせて、本当に大切なことを教えていない。その結果、日本語も満足にあやつれずに、自分の感情を的確に表現できず、情緒不安定な大人へと成長してしまうわけです。
「思考は国語で行うものだ」、これを忘れてはいけません。
また、人間は「感情」の生き物です。より人間らしく生きるためには、美しいものを美しいと感じる心、つまり五感を発達させることが必要になってきます。
だからといって、ビデオで美しい風景を見せればいいというものではありません。
人間というものは、網膜上の映像だけで「見て」いるのではないのです。香りだとか、音だとか、温度だとか、すべてのものをいっしょに「見て」、感動するものです。その蓄積した経験があるからこそ、映像でも感動できるのです。
そしてもうひとつ、食事、特に咀嚼の大切さを現代人は忘れています。
最近の食べ物は、味付けが濃く、柔らかいものばかりが好まれているようです。そのため、あごを使って咀嚼すことが少なくなりました。現代人の細いあごは、その象徴です。
しかし、あごを使ってよく噛むと、そのまま脳に刺激が送られ、脳の発達につながるのです。また、唾液をよく出すことによって消化を助けます。唾液の成分には免疫に関わっている成分が多く含まれています。現代人は唾液を出さなくなったために、舌ガンの発生率が上がったというデータもあるのです。
もちろん旬のものを食べ、季節感を感じるというのも大切な五感磨きです。

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